【“登場人物を好きにさせる”ことの圧倒的な上手さを感じた『モヒカン故郷に帰る』の話】

      2016/05/18

ゴールデンウィークは、故郷に帰りました?
僕は車で10分ですし、行政書士事務所としては職場ですからね、「故郷」という意識はないんですけども。でも精神的な意味において「故郷」を感じることは時々あったりします。

“故郷”というところには何があるのか?

故郷にあるのは“人間関係”だと思います。

もちろん自分がいるところにも、自分を取り巻く人間関係はありますが、
大人になった今、自分がいる場所にある人間関係は、自分が中心点となって存在しているように見えます。
逆に言うと、自分を中心として人間関係を認識できるようになることが、大人になるということなのかもしれませんね。
もちろんそれは、「自己中心主義」の話ではないですよ。
言葉にするならば、“自立”とか“責任”とかそういうものなのかもしれません。

では、故郷にあるという人間関係とはどういうものか?

それは、「自分が主役でない人間関係」だと思うんです。

◯◯中学の△組だったウシダ。
よく☓☓とツルンでいたウシダ。
□□部だったウシダ。
孫の父親であるトモユキ。
嫁の旦那であるトモユキ。
そして親父の息子であるトモユキ。

自分の人生の主役になるために、親から離れ、自分の家族を持ち、自分の仕事や自分の家を中心に、自分の居場所を必死に築こうとしているわけですが、
故郷に帰ると、必死にならなくても座るイスがちゃんとあるんですね。

「オレはコレコレこういう人間なんですよ!」とアナウンスしなくても、良くも悪くもわかってる人たちがいる。
それを安心感だと思う人もいれば、それが窮屈だと感じる人もいるし、それから逃げちゃってる人もいるでしょう。

あなたにとっての故郷はどんなところですか?

なんてことを考えたりした映画はコチラ。

モヒカン故郷に帰る

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「横道世之介」「南極料理人」の沖田修一監督が、松田龍平を主演に迎えて描くホームドラマ。結婚報告のため瀬戸内海の故郷へ7年ぶりに帰ってきたモヒカン頭の永吉が、父や恋人、母、弟・浩二とともに繰り広げる悲喜こもごもを描く。売れないデスメタルバンドのボーカル・永吉は、恋人の由佳が妊娠したことをきっかけに、瀬戸内海に浮かぶ故郷の戸鼻島(とびじま)へ7年ぶりに帰郷。同じく故郷を出ていたはずの弟もいつの間にか帰郷しており、久々に一家が顔をそろえるが、そこで父親のガンが発覚し……。松田がモヒカン頭の主人公・永吉に扮し、父親役に柄本明、恋人役に前田敦子、母親役にもたいまさこ、弟役に千葉雄大と個性的なキャストが集った。 [From モヒカン故郷に帰る : 作品情報 - 映画.com]

まー、なんてことはないお話なんですよ。
でも、この映画に登場する人たちのことが好きになっちゃう。
「登場人物を好きになる。」言葉にすれば単純ですけど、これができれば、その映画鑑賞は8割がた成功したって言ってもいいくらいのことだと思います。
この沖田修一監督は、それがとても上手な監督さんだと思います。

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母と嫁。

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オヤジとセガレ。

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一人ひとりの登場人物を好きになったのだから、その人たちの関わり、掛け合い、空気感に、幸福感を感じてしまうのは自明の理ってやつですよ。

「死」ということさえも幸福の一部であるかのように思える作品でした。

 - 【上陸級】, ネタバレなし