【いるところにはいる。いつもそこにいる。『劇場版シネマ狂想曲 名古屋映画館革命』の話】

   

「映画が好きで、映画の話がしたくても、映画の話をする相手が身近にいない。」

そんなふうに寂しがりながら映画を観ていた時期がありましたよ。

「ひとことに“映画好き”と言っても、好きなジャンルや映画に対するスタンスはホントにそれぞれで、仮に“映画好き”という人と出会っても、楽しく映画の話ができるとは限らない。」

そんなふうに斜に構えて、映画はひとりだけで楽しむもんなんだと思ってた時期もありました。

入江悠という映画監督の主催する「僕モテ」というイベントで東京に行くようになって、そこで出会った人たちと死ぬほど映画の話をして考えが変わったのは、「いるところにはいるんだな。」ってことでした。
でも東京は遠い。

映画のポッドキャストを始めて、すこし世界が広がった、気がしました。

cinemactifというユニットが主催する「マンスリーシネマトーク」という会で神戸に行ったら、そこで出会った人たちと泣きそうになるほど映画の話をして考えを改めたのは、「東京だけじゃないんだな。」ってことでした。
でも神戸も遠い。

映画をよく観るようになって数年が経ち、シネコンでやってる映画だけじゃなくて、ちょっとマニアックな映画が観たい。でもそれが東京より1週遅れや1ヶ月遅れ、なんなら名古屋では公開されないなんて話も目につくようになってくると、「映画地域格差」なんて言葉を勝手に作って、勝手にコンプレックスに思ってたりした時期もありました。

でも諸々結局そんなものは、「ここではないどこか」のイメージであって、「今ここにいる私が、心底映画を楽しむ」っていうことから、もういっかい始めないとなぁと思った映画がコチラ。

劇場版シネマ狂想曲 名古屋映画館革命

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メ~テレ(名古屋テレビ放送)が制作し、2017年2月1日に放送したテレビドキュメンタリー「シネマ狂騒曲 名古屋映画館革命」の劇場版。名古屋のミニシアター「シネマスコーレ」の副支配人・坪井篤史氏に密着し、名古屋を映画で一番熱い地にしようとミニシアターで様々な上映企画やイベントを行い、プライベートではVHS映画を7000本以上も所持するなど、映画愛にあふれる坪井氏の生き様や、その周辺の人々との交流を描く。ナレーションは俳優の竹中直人。 [From 劇場版シネマ狂想曲 名古屋映画館革命 : 作品情報 - 映画.com]

「オレは名古屋に住む映画好きでホントに良かったと思える映画」。

“映画地域格差”だって?

関係ないね!

そんなパワーをもらいましたよ。

まぁ、映画を好きでいることにパワフルである必要があるかどうかは別として。

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2017年2月1日に放送されたテレビ版に再編集、未公開場面を加えて65分の劇場版になっているわけですが、その未公開場面の目玉は、
副支配人である坪井さんの上司であり、シネマスコーレのビッグボス、木全純治支配人のエピソード。

個人的には以前安田淳一監督の『ごはん』を観に行ったときに舞台挨拶の司会をされてたのを拝見したんですけど、正直「ただの人の良さそうなおじさんだなぁ」くらいにしか思ってなかったんです。

が!しかし!!

シネマスコーレのビッグボスにふさわしき偉大な人物でしたよ。

テレビ版もう観たよという人も、「この支配人(親)にして、この副支配人(子)あり」というのを観る価値アリだと思います。

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あと不思議な体験だなぁと思ったのは、

「シネマスコーレのスクリーンに、シネマスコーレのスクリーンが映ってる」っていう臨場感ですよ。

なんていうんでしょう、

「シネマスコーレの映画をシネマスコーレで観る」という妙な面白さ。

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テレビ版で「貞子VS伽椰子の絶叫イベント」の様子をみたとき、

「うわ!超楽しそうだな、知ってたらその場に行きたかったな」って思いましたけど、『シネマ狂想曲』をシネマスコーレで観ることによって、その時の、その場の空気を擬似的にでも、かなりの再現度で味わえたような気がしましたよ。

というわけで、『劇場版シネマ狂想曲 名古屋映画館革命』オススメです。

いるところにはいるんだなぁという、映画狂人が、いつもそこにいる。
シネマスコーレがこれからも、ずっとそこにあると、いいなと願います。

 - 【上陸級】, ネタバレなし