【『女は二度決断する』。そして私は、】

      2020/04/23

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2019年の4月19日の「東池袋自動車暴走死傷事故」から1年が経ちました。なんてニュースが、新型コロナの話題の中にひっそりと報じられてましたよね。

子を持つ父親としては本当に胸が痛い出来事だったし、老いた親がいる子としても非常に不安になる話題でした。

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そんな中、加害者の飯塚氏の物言いや態度には非常に腹が立ちましたけども、当時ニュースを見ながら娘が「この人が死ねばよかったのに・・・」とつぶやいたのを聞いて、ハッと冷静になったことを覚えてますよ。

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大事な人を失って遺された人のその後は、何を拠り所にしていくのでしょう。それを思いを馳せることも第三者としては傲慢な気がしてしまいますが、どうかいつかは心穏やかに暮らせる日々を迎えられますように。

でも、映画は別。

主人公のあの行動や、その考え方はアリなの?ナシなの?自分だったら??

女は二度決断する

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自分の家族の命を奪われた!
犯人が憎い!!
でも現代の法治社会では、罪人を裁くのは司法の役目。だからちゃんと法に訴えた。
でもその裁判で犯人が無罪になっちゃった!
さあ、主人公はどんな決断をする???

ざっくりそういう映画。
現実ならツラすぎるけど、映画の話としてはありがちっちゃあ、ありがち。
でもガッツリ見応えある映画になってるのは、主演のダイアン・クルーガーという女優さんが、すっごく深みのある演技をしてるのが良いんだと思います。
ダイアン・クルーガーの演じる「悲しい」が、うるさくなく、汚くなく、高い純度で「悲しい」のです。僕にはそう感じられました。

でも、ダイアン・クルーガーの演技から「怒り」を感じ取る人もいるでしょう。
「怒りの話」として観るか、「悲しみの話」として観るかで、作品の後味もだいぶ人によって違うんでしょうね。

主人公はどんな決断をしたのか?

どんな決断をしても失われた命は元に戻らないので、その決断というのは100%「自分がどう折り合いをつけるか」という問題です。言い方を変えると、「どうしたら自分の気が済むのか」ということですね。

「復讐したって、死んだ夫は帰ってこないんだぞ!」とか、
「天国にいる君の子どもは、復讐なんて望んでいないよ!」とか、
んなこたどーでもいいのです。夫や子どもを失った“私の心は”どうすればいいの?ってことだと思うんです。主語が違う。「べき論」も「正論」も届かない。

この映画は、「主人公はどんな決断をしたのか?」が論点になる映画だと思います。
「ボクは仕方がないと思うなぁ」とか、
「ワタシは共感できないわ」とか、
そういう話ができる映画ですし、そういう話が僕も誰かとしてみたい。
でもたぶん、主語が違う。

主人公は、そういう決断をしたんだな。と、その「悲しい」もしくは「怒り」を思いやることくらいなんだろうなと思いましたね。

解説 /quote from 映画.com

「愛より強く」「そして、私たちは愛に帰る」「ソウル・キッチン」でカンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭それぞれで受賞歴を誇るドイツの名匠ファティ・アキン監督が、ダイアン・クルーガーを主演に迎え、突然の悲劇で家族を奪われた主人公の女性が絶望の中で下す決断を描いたドラマ。ハリウッドはもちろん、フランスなどヨーロッパ映画でも活躍し、英語、フランス語、ドイツ語を操るクルーガーが、ドイツ語を使った演技に初挑戦し、2017年・第70回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した。ドイツ、ハンブルグ。トルコ移民のヌーリと結婚したカティヤは幸せな家庭を築いていたが、ある日、白昼に起こった爆発事件に巻き込まれ、ヌーリと息子のロッコが犠牲になってしまう。警察は当初、トルコ人同士の抗争を疑っていたが、やがて人種差別主義者のドイツ人によるテロであることが判明。愛する家族を奪われたカティヤは、憎しみと絶望を抱えてさまようが……。

2017年製作/106分/PG12/ドイツ
原題:Aus dem Nichts
配給:ビターズ・エンド [From 女は二度決断する : 作品情報 - 映画.com]

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