【「助けて!!」『法華戦隊ミョウレンジャー』】

      2020/04/22

うっかり真面目な気持ちでニュース番組見たりすると、30分もかからず限界みたいのが来ちゃう今日この頃。
「良かれと思ってマスクを無料配布した沖縄の人が、トラブって泣いてた事件」なんかもう、人の善意に対する申し訳なさと人間の悪意に対する情けなさで、溜め息が過呼吸になりそうだ。

テレビから逃れてTwitterを開くんだけど、「あれ?今は、何をつぶやいたらいいんだっけ?」と考えてるうちに日付も変わっていたりする。
言いたいことを言えばいいんだろうけど、自分が何を言いたいのかもわからない。『ゼロ・グラビティ』という映画で宇宙に放り出されたサンドラ・ブロックみたいに、心の前後上下左右が定まらない。

画面の中には自分なんかよりはるかにヒドい状況の中、戦い続けてる人たちや途方に暮れている人たちがいるし、家の中には自分を頼りにする家族がいるから、自分の弱音は文字にも声にも出しづらいのも正直キツイ。

誰かの役に立ちたいという気持ちはそれなりにあるけど、自分ちを守り切れるかすら危ういぜっていう堂々めぐりは、プロレス動画で紛らわしながら寝て、目が覚めたらまた、昨日よりヒドくなるニュースを読んで、そしてまたTwitterを開く。

有益な情報をRTし続ける人がいる。政治に声を上げ続ける人もいる。
好きな物事をスキスキ言い続ける人も、猫や犬の画像をモフモフ上げ続ける人も、暮らしの一瞬を画像や言葉で見せてくれる人もいる。

2月や3月は、そのそれぞれに思うことや好き嫌いはあった。でも最近は、「スマホの向こうにその人が生きてる」みたいな、文字にするとキモいけど、でもそういう安心感をありがたく思うようになった。誰一人として「ウシダをホッとさせてやろう」なんて思っちゃいないけど、僕はコッソリすごく助かってる。誰かのボヤキや誰かの昼ごはん画像が、別の誰かを助けてる。

ふと、そう思いついたから、僕はそろそろ「この異常な毎日を、日常として普通に暮らそう」って、ちょっと決めた。諦めるとか現実逃避するってことじゃなくて。もう、ぼちぼちちょっと腹くくって生きねば!みたいな。じゃあ具体的に何ができるか?って、それはまぁ、少しずつやれることからだよね。

だから、とりあえず僕は、映画の話(笑)。

『法華戦隊ミョウレンジャー』

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ミョウレンジャーは京都・西陣の妙蓮寺の円常院住職の佐野充照さん、デザイナーの小林さんが発起人として生まれました。以前お寺という場は、子どもから大人まで老若男女が集う場所でしたが、時代の移り変わりとともにその役割がどんどんと減ってきています。
その状況を憂いでいた佐野さんと小林さんが「人が集まる場としてのお寺を取り戻したい」と始めたのがご当地ヒーローの法華戦隊ミョウレンジャー。
ミョウレンジャーは地域の子どもたちの味方であり、お母さんたちの味方です。これまで、子ども向け、子育て支援、防災、地域祭りなど、様々な活動を行なってきました。

ミョウレンジャーのショーでは、必ず子どもたちと交流する機会を設けています。ミョウレンジャーを通して、地域の人と子育て世代が交流する場になり、そこでは人と人とのあたたかい絆がたくさん育まれました。

(中略) 

私たちは、映画化で、「助けてが言える。助けてを言った人が、次の誰かのヒーローになる」という未来をみんなで創りたい。

生きてりゃヤバイ時くらい誰だってあります。
アカン時は、助けを呼んでいいじゃないですか。
背負いこんで潰れるより、ずっといい!

 「助けて」と言える社会をつくりたい。
私は、ミョウレンジャー に関わり始めて、本当にいろいろな人たちに助けてもらいました。
だから、今度は私たちが、次の誰かのヒーローになる番です。

ミョウレンジャーは、ちっぽけで、垢抜けてなくて、落ち込むこともあるけど、
みんな元気に、本気で楽しんでます!

  [From 「助けてと言える世の中に」ミョウレンジャーの映画化で伝えたい(小島 雅子 2019/12/18 公開) - クラウドファンディング READYFOR (レディーフォー)]

どローカルのご当地ヒーローとはいえ、ここまでショボいルックやコスチュームって、逆にキュート!!!

なんだか変にカッコつけてないっていうか、むしろショボさを確信犯的にオモシロに使ってる感じもしたので、楽しみにクラウドファンディング支援した。
上記引用にあるミョウレンジャーの背景や地域活動や、「助けて!が言える世の中に」っていうコンセプトに共感したのもあるけど、本作を監督するのが秋武裕介という映像作家の人なので、「これは観なきゃ!」と思ったのがイチバンの決め手。

秋武裕介監督は、“未来映画社NEXT”という企画で『アナログタイムス』という短編作品が感じ良い作品だったという手腕もあるけれど、Twitterにいつも東映特撮への愛をツイートしているので、特撮モノに対するモチベーションや熱量がしっかり注がれてる作品だった。うん、面白かった!!

ヒロインを二役で主演した辻凪子の、“舌っ足らずでオフビートなオモロ可愛さ”も凄まじく良かった。この作品から注目して、毎日辻凪子さんのTwitter(@0nn_nn0)を見てるけど、ちょっとクセになっちゃう独特な魅力がある。『法華戦隊ミョウレンジャー』は、“辻凪子の主演コメディ”という意味で、マニアックな映画見にはマストな作品に、いつかなるかもしれないね。

この『法華戦隊ミョウレンジャー』は2020年1月に支援募集があって、4月の3日と11日にはコロナ禍の影響で「支援者限定You Tube配信」によるリモート上映が行われた。

緊急事態宣言が出るか出ないかの、不安や苛立ちに落ち着かなかった時期、僕はこの作品を観て笑った。そしてその同じ時間に同じ映画を観て、笑ってる人がいるんだなって思うと少しうれしかった。

新型コロナウィルスの猛威に、ブラックウィドウもワンダーウーマンも早々に逃げ出したけれど、ミョウレンジャーは僕に笑いを届けてくれた。

いつかコロナ禍が過ぎた後、映画産業や映画館業界はどうなってるかわからない。できるだけのことをして、できるだけ生き延びてほしいけど、少なくとも元のようには戻らないだろうとも思う。

もしそうなったとき、映画復興の第一歩になるのは、たぶんこういう映画だと思う。「クラウドファンディング+支援者上映会」。映画館があるから映画が作られるんじゃなくて。それでも映画は作られていくから映画館はまた必要になるんだ。

僕らはたぶんまだ映画をあきらめなくていい。

コロナ禍と映画を巡って、いろいろ考えたし、まだまだこれからもいろいろあるだろう。いつか笑って当時のことを振り返ることができたら、僕が最初に思い出すのは『法華戦隊ミョウレンジャー』だと思う。

 - 映画論etc., ネタバレなし